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Jan

条件を絞り込んで検索 ID統合から始める顧客軸マーケティング 「CIAM」の活用メリットとデータ基盤整備のポイントとは

先行企業はID統合やシステム基盤の整備を完了している

 ビジネスにおけるデータの重要性が広く認識されている今日、マーケティングの成否を分けるのは、単に「データを活用すること」だけではない。「顧客を起点にあらゆるデータを紐付けて管理し、適切に活用できる基盤を整えること」ができて初めて、社内に強いマーケティング組織を作ることができる。

 MarkeZine Day 2021 Autumnに登壇するNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションのエバンジェリスト・嶋田貴夫氏は、Web解析ツールの開発・商品企画・事業責任者として長年ビジネスを展開してきた人物だ。

 嶋田氏はまず、生活者が「デジタルでできることはデジタルで済ませる」という指針に基づいて行動するようになったと指摘。その上で、消費者とのコンタクトポイントとしてSNSや公式サイトのようなデジタルチャネルの重要性が増していると述べる。

条件を絞り込んで検索 ID統合から始める顧客軸マーケティング 「CIAM」の活用メリットとデータ基盤整備のポイントとは

 この状況は、BtoB/BtoCいずれのビジネスモデルにもあてはまるという。企業のマーケティング活動を支援する立場から、嶋田氏は「デジタルチャネルを強化している先行企業は、既にオンラインのIDを統合しているか、初めから1つのIDに様々なデータを紐付ける形で整備しており、あらゆるチャネルやタイミングで収集したデータを全社的に活用するエンタープライズなシステム基盤がある」と語る。

顧客軸マーケティングの鍵を握る「CIAM」

 一方、ブランドを多数抱える大企業や買収・合併を繰り返してきた企業は、まだこのようなマーケティング基盤を整備していないところが多いという。

「多くの企業ではブランド・サービス毎にIDがバラバラに存在し、登録時や問い合わせ時、購入時など限られたタイミングでしかデータを取得できていません。全社で顧客軸のマーケティングを推進したくても、データが乏しく個別最適にならざるを得ない状況にあるのです」(嶋田氏)

 この問題を解決する手段として、嶋田氏が提案するのが「CIAM(Customer Identity and Access Management)」を使ったID統合だ。

 CIAMの原型となった「IAM(Identity and Access Management)」は、元々企業の従業員のID/アクセス権を統合管理する仕組みのことで、これを顧客向けIDに発展または再デザインしたのがCIAMであると嶋田氏は解説。同じID管理といっても、IAMが情報セキュリティ観点で企業側に管理される仕組みであるのに対し、CIAMはユーザー自身が自分で情報を登録・管理し、規約の同意・撤回や退会意思を含めて管理ができる点に特徴があるという。

 CIAMは上記に加え、IDを統合し複数のサービスに単一IDでログインできたり、ソーシャルメディアのIDや他社IDと連携できたりと、ユーザーの利便性を高めると共に、企業があらゆるフェーズやチャネルでデータを取得できる仕組みも備えている。

 嶋田氏はここから、同社が取り扱っている「SAP Customer Data Cloud(CDC)」を例に、CIAMの活用メリットを紹介した。