29

Jan

服にも装着できるアクティヴィティトラッカーは、「スマート衣類」の市場を開拓できるか

「WHOOP」という名のアクティヴィティトラッカーを知っているか、誰かに尋ねてみてほしい。ぽかんとした顔をする人もいれば、これがなければ運動や睡眠はおろか生きていくことすらままならないと答える人もいるだろう。

WHOOPはプロのスポーツ選手や大学所属のアスリート、ハードなトレーニングに取り組む「クロスフィッター」と呼ばれる人々、そして土日の運動を欠かさない“週末戦士”といった熱心なフィットネス愛好者向けのリストバンド型ウェアラブル端末だ。このWHOOPが注目される理由はふたつある。ひとつめは月額あるいは年額のサブスクリプション料金を支払わなければ利用できないこと。ふたつめは、その日にユーザーがどの程度の身体的負荷に耐えられそうか教えてくれる特筆すべき機能があることだ。

「スマート衣類」への進出

WHOOPのビジネスモデルに36億ドル(約3,960億円)もの評価額がつくとは思えないかもしれない。しかし、一部の投資家(そして人数は明らかになっていないがサブスクリプションの加入者たち)は、WHOOPをまさしく「Big WHOOP(大歓声)」に値するビジネスと見ているようだ。

服にも装着できるアクティヴィティトラッカーは、「スマート衣類」の市場を開拓できるか

さらに、ボストンを拠点とする同社はこのほど製品のラインナップを拡大し、「スマート衣類」の分野へも進出しようとしている。手首に巻くタイプが主流の端末を、同社が展開するアスレチックウェアにも装着できるデザインに改良したのだ。新製品は「WHOOP 4.0」と名づけられ、超高速充電が可能な新型シリコンリチウムバッテリーを搭載した初の一般向け製品として発売されることになった。

これまでスマート衣類の需要は伸び悩んでおり、手首装着タイプのウェアラブル端末の市場はアップル製品に独占されている。しかし、WHOOPは継続的な健康モニタリングと、体のどの部分に端末が装着されているかを察知して臨機応変にデータトラッキング機能を調整する新開発の技術「Any-Wear」とを組み合わせることで、数あるトラッキング端末との差異化を図っているのだ。

「ウェアラブル技術は『いい感じに見える』か『外から見えない』のどちらかであるべきだと、わたしたちは常々感じていました。開発の軸はこのふたつだけです」と、WHOOPの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のウィル・アハメドは語る。「『いい感じ』であることは、これまでわたしたちが注力していた分野であり、フォーマルにもカジュアルにも見せられるようにしました。しかし『外から見えない』を目指すとなると、どうやって隠すかが問題になります」

WHOOPのプラットフォームを使うためにハードウェア込みで月額24ドル(約2,640円)の利用料を支払うことを考えると、買い手としては金がみるみる消えていくように感じるかもしれない。しかも、ここにさらにWHOOPが新たに販売する69ドル(約7,500円)のボクサーショーツ、79ドル(約8,600円)のスポーツブラ、109ドル(約12,000円)のレギンスといったアパレル製品の代金も加わるのだ。

とはいえ、フィットネスウェアに金をかけることに慣れている本格派の運動好きたちは、こうした出費にも眉ひとつ動かさないだろう。もしこうした人たちの眉が動いたら、そんな動きさえWHOOPはトラッキングするに違いない。

スター級のトラッカー

WHOOPの製品はいずれも心拍の変動、安静時の心拍数、呼吸数、睡眠パターンを記録してくれる。アハメドによると、最新機種のWHOOP 4.0に搭載されたセンサーモジュールは、これらのトラッキング機能すべてを備えながら、第3世代の「WHOOP 3.0」に比べて33%の小型化を実現したという。