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どっちが安い? ティファールvsガスコンロ、トイレの温水洗浄機の電気代は!? ――自宅の節電を考える

電気代が10倍に!? 数か月で激変したエネルギー価格

 最終回なので、これまで掲載した内容の変更点をお知らせしておこう。まずは第2回に記載した灯油の価格。筆者が近所のガソリンスタンドで昨年11月30日に購入した灯油は18Lが1332円で単価74円、今年1月12日は1530円で単価85円に上昇した。これにより1円あたりのエネルギーは118.2kcalから102.9kcalに減少、電気に対する比率は3.44倍から2.99倍に下がった。

青枠が18Lの灯油代。11月末と1月で15%ほど値上げされた

 灯油代も上がれば電気代も上がる。大手電力会社10社のうち北海道電力、沖縄電力、北陸電力以外の7社が3月の電気料金の値上げを発表した。値上げ幅がもっとも大きいのは中部電力。燃料費調整単価が2月の-6.17円/kWhが3月の-5.80円/kWhとなり、0.37円/kWhの値上げとなる。家庭の平均モデル(260kWh)では96.2円の値上げだ。液化天然ガス(LNG)が高騰し、LNG依存度の高い電力会社が値上げとなった。

 電気料金の算出方法で、「燃料費調整は原油、液化天然ガス、石炭といった燃料の価格変動を反映したもので、5か月前から3か月間の価格が反映される」と記載した。12月のLNGの高騰が3月の値上げに影響したということは4月、5月も影響を受けるということだ。1月以降も高騰が続いているようなので、6月以降も電気代の変動に注意したい。

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 大手電力会社よりも深刻なのは新電力だ。第2回の記事で電力会社や電力プランは選択でき「低価格なプランに切り替えると電気代を減らすことが可能かもしれない」とお伝えしたが、12月中旬から始まった日本卸電力取引所(JEPX)の電力取引価格の高騰は1月には10倍以上の価格となった。どういうこと?

 ザックリとした話しは、例えば11月までは5~10円/kWhで電力を仕入れ、20円/kWhでユーザーに販売していた新電力の会社の仕入れ値が1月には10倍以上になった。150円/kWhで仕入れた電力を20円/kWhで売れば大赤字。市場連動型プランで契約していたユーザーは電気代が10倍以上に跳ね上がるということだ。

 リミックスポイントが1月12日に発表した「卸電力取引所(JEPX)の価格高騰にともなう電気料金に関する重要なお知らせ」に掲載されたJEPXの市場価格推移のグラフは衝撃的だった。

リミックスポイントの1月12日の発表に掲載されたJEPXの市場価格推移のグラフ

 新電力の1社、楽天でんきは「新規申し込み一時停止の案内」を出すなど、各社が対応に追われている状況だ。LNGの供給不足は中国が石炭発電からLNG発電にシフトする影響もあって、長期化あるいは恒久化する可能性がある。大手電力会社はさらなる値上げへ、新電力の中には撤退が避けられない会社もあるというニュースも目にするので、電力会社の見直しは慎重に検討をしていただきたい。

 加えて1月は複数の大手電力会社で電力使用率のピークが99%と、東日本大震災以降でもっとも危機的状況となったらしい。大規模停電の一歩手前だ。電気料金の値上げだけではなく、朝夕の電力が逼迫する時間帯のピークシフトも意識していただきたい。

 以上が暖房コストや電気料金に関するアップデート情報だ。もしかしたら読者の皆さまは、筆者がメチャクチャ節電をしていると勘違いされているかも知れないが、筆者は計測好き、実験好きで「疑問を感じたら試してみたい」だけだ。ワットチェッカーを持っていれば節電ができるなら、体重計を持っている人は皆ダイエットできることになる。筆者宅にはUSB出力ポート付の体重計がある。一応ある。ちなみに最近クスッと笑ったCMは村田製作所の分解系編だ。気持ちは分かる。

 前振りが長くなったが、今回は電気ケトル、電気ポット、トイレの温水洗浄便座、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器など家電製品の消費電力の計測結果を紹介する。電気製品は多くのメーカー、多くの機種が存在している。エアコンのように外気温(地域や季節)や部屋の断熱構造の影響を受けるものもある。よって、たまたま計測した製品の消費電力や電気代を掲載しているので、読者が使用する製品や条件によって値は異なるはずだ。それぞれの結果は参考程度に見ていただきたい。