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Amazon「Fire TV Stick」など、指定デバイスの通信を優先させる【自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!】 - INTERNET Watch

 使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から自宅で過ごす時間が増え、僚誌AV Watchの7月14日付記事『有料の動画配信サービス利用率はAmazonが突出。外出自粛で動画視聴大幅増』にもある通り、ネットで自由に映画や番組を楽しめるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが人気を集めている。

 そこで、在宅時間の増加から人気のAmazon「Fire TV Stick」を解説している。パッケージには取説が入っていないので、知らないとちょっとハマる部分もある。ここまでの解説で、Fire TV Stickを5GHz帯の自宅Wi-Fiに接続して動画を視聴できているはずだ。前回からは、Fire TV Stickでの動画再生のトラブルシューティングに活用できるテクニックを解説している。

「Fire TV Stick」の使いこなしを解説中。デバイスを指定して通信の優先順位をコントロールしてみよう

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 前回はバッファロー製Wi-Fiルーターの機能である「アドバンスドQoS」を使って、動画のデータ通信を優先する設定をしてみた。

 これは設定が簡単で効果も分かりやすいが、通信されるデータの種類が動画かどうかは自動的に判断されるため、こちら側から積極的に関与するのは難しい。そこで今回は「デバイスコントロール」の機能を使って、デバイスを指定して通信の優先度を調整してみよう。

 まず、Wi-Fiルーター側での設定前に、Fire TV Stick側でDHCPで自動配布されているIPアドレスを確認しておこう。ホーム画面から[設定]→[My Fire TV]→[バージョン情報]→[ネットワーク]と進めて表示させると、「IPアドレス」という項目で確認できる。

ホーム画面の[設定]から[My Fire TV]を選ぶ[バージョン情報]を選び、さらに[ネットワーク]を選ぶと、ルーターから割り当てられたFire TV StickのIPアドレスが確認できる

 デバイスコントロールによる通信の優先度は、デバイスごとに割り振られたIPアドレスを元に制御を行う。この機能を活用すれば、単にそのデバイスの通信を優先させるだけでなく、使い過ぎている場合に帯域を制限することも可能だ。

 例えば、Fire TV Stickの動画再生を優先させつつ、スマホなどほかのデバイスでの動画視聴を制限する(帯域が制限されるので再生画質が落ちる)といった合わせ技が有効だろう。

Amazon「Fire TV Stick」など、指定デバイスの通信を優先させる【自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!】 - INTERNET Watch

 Fire TV StickのIPアドレスが確認できたら、Wi-Fiルーター側でデバイスコントロールの設定を進めよう。設定画面にログインし、[デバイスコントロール]を選択する(アドバンスドQoS内にも「デバイスコントロール」ボタンがある)。

バッファロー製Wi-Fiルーターの設定画面にログインし、[デバイスコントロール]を選択

 次に[IP]と書かれたタブを表示させよう。Wi-Fiルーターに接続中のデバイスが一覧表示されるので、調べておいたFire TV StickのIPアドレスを探してクリックする。

[IP]と書かれたタブを表示させ、事前に調べておいたFire TV StickのIPアドレスのものを選ぶ

 [アドバンスドQoS]の項目で、優先度を上げたいデバイスでは[優先度1(高)]に、下げたいデバイスでは[優先度3(中)]や[優先度4(中)]あたりに設定する。[デバイス検出]の[この端末は未検出でも表示する]の項目にもチェックを入れておこう。

[アドバンスドQoS]で[優先度1(高)]を選び、[デバイス検出]の[この端末は未検出でも表示する]にチェックを入れておこう

 この設定で、該当デバイスのデータ通信を優先したり制限したりできる。デバイスコントロールの機能を使う場合は、データが画像か動画かといった種類にかかわらず、デバイスごとに設定した優先度に応じて通信が制御される。

 このため、単純に優先度を高めただけでは効果が小さい一方で、同時に使用するほかのデバイスの優先度を低くすれば、その分の通信帯域が解放されるので、優先度を高くしたデバイスでの動画再生は確実に快適になる。ただし、[優先度6(低)]まで下げてしまえば、お仕置きレベルまで通信が遅くなってしまうので注意しよう。

同じように、スマホの優先度を下げてみよう。実験的に[優先度6(低)]にしてみる

 なお、このデバイスコントロールの設定は、アドバンスドQoSと同時に設定される。デバイスコントロールは、アドバンスドQoSの機能の1つという位置付けなのだが、個別のデバイスへの設定が優先して適用される。つまり、Fire TV Stickの優先度を高くした上で、アドバンスドQoSでも「ビデオの視聴」を優先していれば、Fire TV Stickでの動画視聴の通信が最優先される。このとき、優先度を低く設定したスマホで動画視聴すると、アドバンスドQoSで「ビデオの視聴」が優先されていても通信は制限される。

動画再生中に[リンクレート確認画面]タブを表示すると、リアルタイムの転送速度が表示される。下向き矢印がダウンロード速度設定後、前回使ってみた「Fast.com」のスピードテストをしてみたところ、かなり速度が上がったこちらは、実験的に[優先度6(低)]にしてみた場合のスピードテスト。一見オッ速いとか思うかも知れないが「Mbps」ではなく「Kbps」で1Mbps以下death……

 今回のデバイスコントロールと、前回説明したアドバンスドQoSのどちらを使えばいいのか、迷うかもしれない。そんなときは、まず気軽に設定ができるアドバンスドQoSを試してみよう。

 前回確認した通り、Fire TV Stickでの動画視聴時のデータは「ビデオの視聴」として認識されるので、この通信を優先させたいだけなら、アドバンスドQoSを使えば特に問題はないはずだ。

 通信データの種別が思ったようにルーターで認識されなかったり、スマホやタブレット別に通信の優先度をコントロールしたい場合などに、デバイスコントロールの機能をを使うのがいいだろう。

 使用しているのがモバイルWi-Fiルーターで、(残念ながらそうした製品は少ないものの)同様の機能が付いているなら、通信容量が制限されないように、帯域を絞る目的に優先度を下げるために活用することができる。

 なお、デバイスコントロールの機能を一時的にオフにしたいときは、設定画面のホームで「アドバンスドQoS」のスイッチをオフすればいい。また、そもそも複数端末で同時に通信することがなければ、こうしたQoS関連の設定は不要だ。