28

Jan

業界分析のやり方を豊富な事例でわかりやすく解説!

ファイブフォース分析『起業独立に失敗しないためのマーケティング講座』

ファイブフォース(5フォース)分析を知っていますか?ファイブフォース分析とは、外部環境の脅威を分析して、自社が成長するための戦略を編み出すフレームワークです。

外部環境は自社の努力では変えることができません。しかしながら、外部環境の分析をしていなければ、迫りくる脅威に気づくのが遅れてしまい、市場からの撤退を余儀なくされるかもしれません。

起業独立を目指す方や、新規ビジネスの参入を検討している方なら、絶対にやっておくべき外部環境の分析が、この「ファイブフォース分析」なのです。

今回はファイブフォース分析について徹底的に解説していきます。変化の激しい市場を生き残るためには、本記事は必読の内容となります。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください。

この記事の目次

  • ファイブフォース(5フォース)分析をするメリット
  • ファイブフォース(5フォース)分析の事例
  • 自動車業界 ファイブフォース分析の事例
  • 航空業界 ファイブフォース分析の事例
  • ファイブフォース分析のやり方・手順
  • ファイブフォース(5フォース)分析の注意点
  • 起業独立する人や新規ビジネスを立ち上げる人こそファイブフォース分析を
  • まとめ ファイブフォース分析について
  • ファイブフォース(5フォース)分析とは?

    ファイブフォース分析は、ハーバード大学のマイケル E. ポーター教授が提唱した業界の競争要因を分析するためのフレームワークです。自社に影響を与える競争要因を5つに分けて、それぞれの現状を分析したり今後の予測を立てたりすることで、自社が取るべき戦略の立案に役立てることができます。

    5つの競争要因は以下の通りです。

    それぞれを解説していきます。

    競合他社(業界内での競争)

    競合他社の存在は、自社に大きな影響を与えます。競合他社の数が多かったり、競合他社が強力な資本や技術力を持っている場合、自社にとって大きな脅威となります。

    競合他社の数や強さを分析することで、自社に与える影響を予測することができ、自社が取るべき戦略を考えることができます。

    競合他社との競合を優位にするためには、他社との差別化や優位性を確立することが大切です。独自の技術を開発したり、価格で圧倒的な優位性を保つなど、他社の追随が難しいポジションが確立できないかを検討してみましょう。

    例えば、街にあるスーパーは、近隣のスーパーと競合している状態です。品ぞろえや価格設定、ポイントサービス、出来立ての総菜などで各店舗がしのぎを削っています。

    競合他社にはどんな特徴があるのか、自社にはどんな強みがあるのか、顧客は何を決め手にして店舗を選ぶのか。

    このような競合状態を分析し、自社の現状を知ることで、新たな勝ち筋がないかを検討してみることが大切です。

    買い手の交渉力

    買い手の交渉力が強い場合、自社の利益を圧迫します。買い手の要求に応じるしかない状況は、自社が価格をコントロールできないため、買い手が及ぼす影響は大きいです。

    買い手の交渉力が強くなるケースは、買い手が他社からの調達が容易であったり、買い手の購買量が多くなっている場合です。

    買い手の交渉力に対して優位になるためには、自社の独自技術を確立して自社しか提供できない価値を創造したり、特定の買い手に依存しないよう別の買い手を確保するなどの戦略が考えられます。

    例えば、街のスーパーであれば、競合他社のスーパーであっても必要なものは買いそろえることができます。近隣のスーパーで特売セールがあれば、簡単に顧客は流れてしまうので、買い手の交渉力は強い状態です。

    しかし、自社でしか買えない名物の唐揚げがあれば、顧客は自社で購入するしかありません。このようなキラーコンテンツを開発することは、買い手の交渉力に対抗する手段のひとつです。

    売り手の交渉力

    売り手の交渉力が強い場合、自社の生産力や価格設定に大きな影響を与えます。自社にとって必要不可欠な部品や材料、サービスを特定の売り手が持っている場合、売り手の交渉圧力によって自社が屈してしまう可能性があります。

    売り手の交渉力に対抗するためには、自社にとって必要不可欠な部品や材料、サービスが調達できる別の業者を探したり、自社が自前で開発するなどの戦略が考えられます。

    例えば、街のスーパーであれば、野菜の価格がどんなに高騰したとしても、一定の品ぞろえを確保しなければならないので、卸売業者の言い値で仕入れるしかありません。

    しかし、自社農場を構え、売れ筋の野菜を自社で調達ができるようになれば、安定供給と仕入れ価格のコントロールができるようになります。

    新規参入の脅威

    新たな業者が市場に参入してくる場合、自社のポジションを脅かし多大な影響を与える可能性があります。これまでにない価格設定や新しい価値を持つ企業が市場に参入してくると、自社のシェアや利益率を悪化させるリスクが考えられます。

    新規参入の脅威に対抗するためには、自社ならではの特許技術を開発したり、デファクトスタンダード(業界標準)として市場を事実上独占する状態にする、法律で規制がかかっている分野を取り入れるなどの手段が考えられます。

    圧倒的なブランド力を構築したり、政府や自治体、業界とタッグを組んで新規参入を排除することも考えられます。

    例えば、街のスーパーであれば、巨大な資本力を持つ大手ディスカウントチェーンが近隣に参入してくる可能性があります。自社のシェアを大きく奪われる可能性があります。

    対策として、地元の企業とタッグを組んで誘致に反対したり、会員機能を強化して顧客の流出を防ぐなどの戦略が考えられます。

    代替品の脅威

    今までにないまったく新しい製品やサービスの登場によって、市場や自社の価値が置き換えられてしまう可能性もあります。

    代替品の脅威に対抗するためには、スイッチングコストを高くして乗り換えを阻止したり、自社の独自性や価値を高めて代替されにくいポジションを確立するなどの戦略が考えられます。

    例えば、街のスーパーであれば、ネットスーパーやデリバリー業者の台頭が脅威になるでしょう。そもそもスーパーに行って買い物をする必要が無くなってしまうからです。

    対策として、来店ポイントで優遇する、超特価品を用意して来店を促すなどの戦略が考えられます。

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    ファイブフォース(5フォース)分析をするメリット

    ファイブフォース分析をすることで、自社にどんなメリットがあるのでしょうか?ここではファイブフォース分析の主なメリットである以下の3つについて解説していきます。

    それぞれを解説していきます。

    自社を取り巻く環境を正しく認識できる

    ファイブフォース分析をすることによって、自社を取り巻く環境を正しく認識することができます。

    自社を取り巻く環境を分析することは、自社に迫りつつある脅威を察知するだけではなく、自社にとって追い風となる時代の流れをキャッチすることにもつながります。

    かつてテレビやパソコン、ウォークマンなどの家電販売で好調だったソニーは、その家電販売で苦境に立たされた時期がありました。安さで家電市場を席巻する新興国企業の参入、国内メーカー同士のカニバリゼーション、アップルやグーグルなどによるスマホの急激な普及で、ソニーの家電メーカーとしての強みは失われつつありました。

    しかし、現在ではその危機を乗り越え、ゲームや映画、音楽をはじめとするデジタルコンテンツの配信で劇的なV字回復を果たしています。

    自社を取り巻く環境を正しく認識し、自社の強みを活かせなければ、今のソニーはなかったかもしれません。

    自社を取り巻く環境を正しく認識するためには、ファイブフォース分析が最適です。

    自社を脅かす脅威に早く気付くことができる

    ファイブフォース分析をすることによって、自社を脅かす脅威に早く気付くことができます。

    特に新規参入の脅威や代替品の脅威を分析することは重要です。なぜなら、市場を構成するバランスやこれまでの価値観を破壊してしまうからです。

    例えば、かつてフィルムカメラはデジタルカメラに市場を奪われました。しかし、ここまでは主にカメラメーカー同士の戦いでした。ところが、スマートフォンの登場によって、デジタルカメラ市場は急速に衰退しました。

    これがまさに代替品の脅威です。まったく違う角度からのアプローチによって、市場が急激に変化してしまうのです。

    しかし、フィルムカメラからデジタルカメラへシフトしていた富士フィルムは、そこからさらにナノテクノロジーを活かして化粧品や医療の分野に進出。デジタルカメラ市場が衰退してもなお、好調な売上を維持しています。

    一方、世界的に有名だったコダックは、カメラ市場の変化に対応しきれずに破綻してしまいます。

    このような急激な市場や顧客ニーズの変化は、常に危機感を持って自社のマーケットを分析する他に対策手段はありません。

    ファイブフォース分析を使って、自社を脅かす脅威に一刻も早く気付くことが大切です。

    自社の成長戦略が明確になる

    起業独立を目指す人や新規ビジネスへの参入に挑戦する人も、ぜひファイブフォース分析を活用していきましょう。なぜなら、自社の成長戦略を明確にすることができるからです。

    外部環境は自社の力では変えることができません。逆に言えば、時代の波に乗り、市場ニーズを的確に捉えれば、自社は成長すべくして成長することができるのです。

    一方、外部環境の分析が不足したまま、自社のこだわりや思い込みで市場に参入してしまうと、起業独立や新規ビジネスの立ち上げに失敗してしまいます。

    どんなに自社のプロダクトの完成度を高めても、どんなにセリングスキルを高めても、マーケティングができていなければ、誰にも見向きしてもらえません。

    EVのテスラは、早くから電気自動車や自動運転の分野に参入していました。エネルギーや環境の問題が深刻になることと、自動運転の実現で起こるであろう劇的なイノベーションで、自動車市場に大きな変化が起こると予測していたからです。

    業界分析のやり方を豊富な事例でわかりやすく解説!

    当初、技術力や実用性で劣っていたテスラは、事故が起きるたびに評判を落としていました。

    しかし、技術革新が進み、EV化、自動運転化の波が一気に押し寄せた現在、世界的に有名な自動車メーカーの時価総額を、テスラは大きく上回わるまでに成長しました。テスラは時代の先を正確に予測できていたことになります。

    ファイブフォース分析をしっかりとしていれば、自社が取るべき戦略を明確にすることができます。他社にはない価値を創造し、市場の変化を捉えることができれば、自社を大きく成長させることができるのです。

    ファイブフォース(5フォース)分析の事例

    ファイブフォース分析の事例を紹介していきます。実際にファイブフォース分析をする際の参考にしてみてください。

    それぞれを解説していきます。

    コンビニ業界 ファイブフォース分析の事例

    まずコンビニ業界でのファイブフォース分析の事例を紹介していきます。

    競合他社(業界内での競争)

    コンビニ業界は、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3強が市場をほぼ寡占している状況です。仮にコンビニ業界に新規参入するのであれば、よほどの差別化やブランド力がなければ、競合に勝つことは難しいでしょう。

    また、すでにコンビニ業界に参入している場合は、3強とは違う戦略を打ち出さない限り、市場で生き残ることは難しいでしょう。国内人口の減少も考えると、生き残りが難しい市場と考えるべきでしょう。

    買い手の交渉力

    コンビニの買い手は個人客が多いです。コンビニは利便性を売りにしていて、あまり値引きをすることがありませんので、価格面での買い手の交渉力は強いとは言えません。

    しかし、顧客はコンビニを自由に選ぶことができるので、買い手よりも有利な市場とは言えないでしょう。

    売り手の交渉力

    コンビニの主力商品であるお弁当やサンドイッチなどは自社で製造することが多いです。また、仕入れも多く、商品の入れ替えも激しいため、メーカーの言い値で買うこともないでしょう。

    売り手の交渉力が強い市場とは言えず、収益性が高い魅力的な市場と言えます。

    新規参入の脅威

    コンビニ業界は寡占状態にあり、新規参入する業者はなかなか現れないかもしれません。

    代替品の脅威

    コンビニを脅かす存在として、Amazonなどのネット通販や飲食店のデリバリーサービスなどが考えられます。スーパーやドラッグストアがドローン配送を始めたら、わざわざ売価の高いコンビニで注文する人はいなくなってしまうかもしれません。

    コンビニ業界のファイブフォース分析まとめ

    コンビニはあまり値引きせずに販売していますので、新規参入をするなら価格面で勝負を仕掛けることも一時的には可能です。しかし、大手が同じように値引きをしてきたら勝ち目はありません。

    すでにコンビニ市場に参入している場合、大手の利便性に対抗することは難しいので、3強の傘下に入るか、早期撤退も視野に入れたほうが良いかもしれません。

    また、長期的に見た場合、国内人口の減少の影響を回避することは難しいため、よほどの勝ち筋を見極めない限り、生き残りは厳しい業界と言えるかもしれません。

    自動車業界 ファイブフォース分析の事例

    次に自動車業界を例にして、ファイブフォース分析をしてみましょう。

    競合他社(業界内での競争)

    トヨタ、日産、ホンダなど大手自動車メーカーが多くあります。また、メルセデスベンツ、BMWなどの外国勢も多く参入し、狭い日本市場に多くの競合がひしめいている状況です。

    買い手の交渉力

    競合が多いため、値引き要求しやすく、買い手の交渉力は強いと言えます。しかし、人気の車種は値引きして売る必要がないので、ケースバイケースと言えるかもしれません。

    売り手の交渉力

    特殊な部品や素材などの一部を除いて、売り手の交渉力は強いと言えません。自動車メーカーは厳しくコストカットしてきますので、売り手が優位に立つことは無さそうです。

    ただし、革新的な特許技術などを持つ仕入れ業者が現れた場合、売り手の交渉力が強まる可能性はあります。

    新規参入の脅威

    テスラなどの新しい自動車メーカーの脅威は大きいです。機械部品の集合体であった自動車産業は、すそ野が広く新規参入が難しい業界でした。

    しかし、電動化技術の発達により、機械部品を大きく削減して自動車を作ることが可能になりました。電子部品を組み合わせになりつつあるので、製造を外注化することもできるようなってきています。

    今後はアップル、グーグルなども自動運転の分野に参入してくるので、自動車業界は非常に厳しい岐路に立たされています。

    代替品の脅威

    自動運転化が進むと、そもそも個人が車を所有する必要が無くなる可能性があります。また、ドローンやAR(拡張現実)技術が発達すると、わざわざ人が外出することも無くなってしまうかもしれません。

    自動車業界のファイブフォース分析まとめ

    自動車業界はすでに競合も多く、新規参入もしやすくなってきています。そもそも自動車を所有する必要が無くなる可能性もあり、既存メーカーにとっては厳しい市場と言えそうです。

    一方、革新的なアイディアと技術があれば、少ない資本でも自動車市場に参入することができるようになりつつあります。自動車市場は巨大なので、新規参入業者にとっては魅力的な市場と言えそうです。

    航空業界 ファイブフォース分析の事例

    最後に航空業界を例にして、ファイブフォース分析をしてみましょう。

    競合他社(業界内での競争)

    国内の航空業界は、JALとANAの2強によってほとんどのシェアを握っていますが、スカイマークやLCCなどもありますので、価格面での競争が激しい市場となっています。

    また、ドル箱路線が多かった海外便は、コロナの影響でまったく期待ができなくなってしまいました。

    非常に厳しい市場環境にさらされています。

    買い手の交渉力

    航空チケットの場合、買い手が直接値引き交渉をすることはできませんが、安いチケットを買い求める傾向が強く、国内路線は新幹線との競争もあるため、買い手の交渉力は強いと言えるでしょう。

    売り手の交渉力

    航空機材は海外メーカーに依存するしかなく、他の調達手段もないため、売り手の交渉力は強いことが考えられます。

    また、燃料が高騰しても乗客がいる限りは飛行機を飛ばさなければいけません。燃料が高かったとしても仕入れないわけにもいかず、すぐに運賃へ転嫁することも難しいと考えられます。

    売り手の影響を受けやすいと言えるでしょう。

    新規参入の脅威

    新しい航空会社が国内に参入することは、現状だと考えにくいです。一時期は賑わったLCCもJALやANAの傘下に入ったり、撤退したりしているからです。

    国際線での競争は海外勢も含めると多くの新規参入がありましたが、コロナの影響でしばらくは大きな動きはなさそうです。

    代替品の脅威

    コロナの影響により、在宅化、オンライン化が進みました。国内外の出張は、ZOOMなどのオンラインツールに代替されています。

    また、旅行についても、AR(拡張現実)技術が発達してくると、時間とコストをかけてまで旅行する人が減ってしまう可能性があります。

    長期的に見ると、飛行機で国内や海外に行くよりも、ロケットで宇宙旅行に行く人が増えるかもしれません。

    航空業界のファイブフォース分析まとめ

    航空業界はコロナの影響で市場が一変してしまいました。期待されていた海外路線も、オンライン化の発展でどうなってしまうかが予想できません。

    航空機材や燃料、人件費などの固定費が大きい業界なので、以前のように多くの人が海外に向けて飛行機を利用するようにならない限り、厳しい状況が続くと思われます。

    ファイブフォース分析のやり方・手順

    ここからはファイブフォース分析のやり方や手順などについて解説していきます。

    ここでは解説をわかりやすくするために、街の洋食屋さんを経営するあなたが、赤身肉を多めに使ったヘルシーなハンバーグを新たなメニューに投入すると仮定して、ファイブフォース分析を行っていきます。

    あなたのビジネスと置き換えながら、解説の内容を一緒に考えてみてください。

    競合他社(業界内での競争)

    洋食屋はファミリーレストランなどとの競合が激しいです。ハンバーグとなると、ステーキレストランやファストフードなどとも競合します。

    コンビニのレトルト商品やスーパーの総菜とも競合するので、非常に競争が激しい市場と言えます。

    しかし、赤身肉を使ったヘルシーなハンバーグという狭いくくりであれば、競合との差別化ができるかもしれません。

    このように、自社が競合する他社の状況や競争状態を正確に分析することが大切です。自社にとって不利な状況も、目を逸らさずに向き合う必要があります。

    買い手の交渉力

    ハンバーグを食べたいと思う買い手は、さまざまなお店の選択肢を持っているので、買い手の交渉力は強いと言えます。

    赤身肉を使ったヘルシーなハンバーグであれば、健康志向の顧客の心をつかむことができるかもしれません。

    ですが、よほどの理由がない限り、何度も自社のハンバーグを選んでくれることは無いでしょう。

    買い手を分析するためには、買い手の立場になって考えてみることが大切です。こうした分析をする際、どうしても自社視点になりがちなので注意しましょう。

    売り手の交渉力

    牛肉の卸価格は高騰していますので、売り手の交渉力は強いと言えます。ハンバーグを名物として押し出す以上、牛肉を仕入れなければならず、売り手の価格に応じるしかないでしょう。

    赤身肉の美味しさを担保するためには、肉の品質を落とすわけにもいかず、仕入れ価格の高騰は大きなリスクになりそうです。

    売り手も自社の利益を最大化しようと活動します。売り手の言い値にならないためには、どうすれば良いのかを検討しましょう。

    新規参入の脅威

    参入障壁が低く、ハンバーグは人気があるので、新たな新規参入は脅威です。

    赤身肉のハンバーグというだけでは、すぐに真似をされてしまうリスクもあります。もうひとひねり何かないと、すぐに同じような商品を投入されて自社の優位性がなくなってしまいます。

    新規参入の脅威があるということは、市場が魅力的であるということでもあります。逆に、特段の理由がないにも関わらず新規参入の脅威を感じていない場合、市場の魅力度が低い可能性もあります。

    代替品の脅威

    牛丼やカレー、ラーメンなど、安くて美味しいメニューはたくさんあるので、ハンバーグの代替品の脅威は強いです。

    肉を大豆で代替したハンバーグも人気が集まっています。牛肉価格が高騰した場合、鶏肉や豚肉に代替されるリスクもあります。

    代替品のリスクを考える場合、代替品との競争に勝てるかどうかだけではなく、そもそも自社の商品やサービスが不要になってしまった場合、つまり現在の常識も疑ってみることが大切です。

    例えば、つい最近まで『本は本屋で買うもの』という常識がありました。しかし、Amazonや電子書籍の登場により、『本は本屋以外で買った方が便利』という世の中になってしまいました。

    代替品の脅威は、常にアンテナを張って分析し、有効な対策をシミュレーションしておきましょう。

    ファイブフォース分析のやり方・手順 まとめ

    ファイブフォース分析をした結果、赤身肉のハンバーグという特徴を打ち出すことは有効と思われますが、その特色だけでは市場で勝ち残ることは難しそうです。

    見た目やソースの味付け、コストパフォーマンスなど、顧客に選ばれる理由付けがもっと必要だということがわかりました。

    代替品も多くありますので、顧客に支持される特色を打ち出す必要がありそうです。

    どんなハンバーグなら食べてみたいのか、実際に食べてもらった感想はどうなのか、といった顧客の声を集めてみることも有効だと思われます。

    自社のこだわりや思い込みではなく、顧客の声をもとに市場が求める商品を開発していくことが、生き残るための戦略であると言えます。

    そこで今回は、国内の競合が強く代替品も多いという分析結果を踏まえ、越境ECで和牛ハンバーグの美味しさを海外へアピールしてみるという戦略を考えてみるのも良いかもしれません。

    和牛という素材にこだわることでコストは高くなってしまいますが、海外での和牛のニーズは大きいです。海外に送る場合、賞味期限が問題になりますが、レトルトパックにすることで保存しやすくします。これにより、在庫を一定期間ストックしておくこともできるでしょう。

    ファイブフォース分析は繰り返し行うことで、新たな勝ち筋が見えてくる可能性もあります。市場の変化を敏感にキャッチしていくためにも、ファイブフォース分析を繰り返し活用していきましょう。

    ファイブフォース(5フォース)分析の注意点

    外部環境の分析や自社の戦略立案に非常に有効なファイブフォース分析ですが、主な注意手を3つまとめしたので確認をしておきましょう。

    それぞれを解説していきます。

    自社に優位な希望的観測をしない

    自社が参入している市場やこれから参入しようとしている市場は、自社にとって優位に考えてしまいがちです。このようなバイアスをできるだけ排除して、希望的な観測をしないことが大切です。

    冷静かつ客観的に市場を見ないと、正確な分析ができないからです。

    1人で分析するのではなく、複数の人で脅威の洗い出しから行うと良いでしょう。できるだけ客観的で公平な目線で市場分析をしていきましょう。

    未知の脅威に怯えすぎない

    新規参入の脅威や代替品の脅威は、予測が難しいこともあり、あらゆる可能性を考えていくと何もできなくなってしまいます。

    未知の脅威の分析も大切ですが、すべてのリスクを排除することはできません。

    予測が難しい脅威については、残存リスクとして受け入れることも大切。未知の脅威に怯えすぎず、自社の強みを尖らせていきましょう。

    分析で終わらず実行可能な対策を打ち出す

    ファイブフォース分析は分析することが目的ではありません。実行可能な対策を打ち出し、市場で勝ち残ることが目的です。

    分析しただけでは十分ではなく、実際に市場で戦略を仮説検証し、さらなる改善を考えていきましょう。

    市場は常に変化していますので、定期的にファイブフォース分析を繰り返し、新たな戦略を打ち出していきましょう。

    起業独立する人や新規ビジネスを立ち上げる人こそファイブフォース分析を

    起業独立する人や新規ビジネスを立ち上げる人こそファイブフォース分析が必要です。なぜなら、外部環境の分析を行わずに市場に参入してしまったら、そもそも勝ち目のない勝負を挑んでしまったり、短期間で参入した市場が衰退してしまうことだって考えられるからです。

    また、市場のどこかに自社にとって追い風となるポジションがあるかもしれません。分析を繰り返すことで、他社にはない自社の強みに気づくことができるかもしれません。

    起業独立や新規ビジネスの立ち上げにおいても、しっかりと市場の分析をしていきましょう。

    また、起業独立や新規ビジネスの立ち上げにおいては、さまざまな手続きや準備が必要です。スタートダッシュでつまづかないためには、創業時のノウハウをまとめた『創業手帳』をチェックしておきましょう。

    起業独立を目指す人なら、無料で取り寄せることができます。

    創業時はマーケティング以外にも考えなければいけないことがたくさんあります。『創業手帳』があれば、創業時に必要な情報がすべて手に入ります。

    まとめ ファイブフォース分析について

    今回はマーケティング分析の中でも、外部環境の分析に特化したファイブフォース分析について解説しました。

    外部環境の分析は非常に重要です。外部環境を分析していれば、追い風を背にして一気に船を進めることもできるでしょう。みすみす嵐に突っ込んで転覆しまうことも避けられます。外部環境の分析をしなければ、成長することも生き残ることもできないのです。

    外部環境は自社の力では変えることができません。自社の力が及ばない外部環境だからこそ、しっかりとした分析が必要。

    起業独立をする人や、新しいビジネスを立ち上げる人こそ、ファイブフォース分析をしっかりと行っていきましょう。

    また、起業独立や新規事業の立ち上げには、さまざまな準備が必要です。ぜひ『創業手帳』も取り寄せておきましょう。関連記事【起業家向け】新規顧客開拓の5つの方法とは?事前にすべき3つの分析で効率アップ!KPIとは?KGIとの違いや起業独立にも大切な目標設定のコツを解説

    (編集:創業手帳編集部)

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