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Sep

預かり犬から飼い犬に。我が家の老犬その後

以前書いたけれど、4月に緊急事態宣言が出されたとき、家にいる時間が長くなったこともあり、友人でもある獣医が保健所から引き取ってきた犬を我が家で預かることにした。

殺処分しなくてもそんなに長くないよ……って感じのお爺さんのミニチュアダックスフンド。片目を失い、残った片目は白内障が酷いので目は見えないし、耳も聞こえないし、歯も1本も無い。見るからにボロボロ。先行き短い犬生、少しでも楽しい思い出作ってくれ! くらいな感じで快適な室温とフカフカベッドを用意し、たくさん抱っこして、たくさん撫でて、たくさん話しかけた(聞こえないけど)。

我が家に来て結構すぐに、血尿に血便、そして黄疸まで出たり吐いたりして、即強制入院(というか里帰り?)したので、「現世にはまだ楽しいことあるよ!」と回復を待っていたら、数日後ケロっとして帰ってきた(笑)。ヒヤヒヤしながら過ごすこと数日。鮮血の血便が出て「またかー(汗)」ってなったら、会陰ヘルニアだった。

未去勢の犬がなりやすい病気で、お尻の横からボッコリ腸が飛び出しちゃってる。うまくトイレができなくて排便で地獄を見ていたらしい。トイレ介助を頑張るも「痛いー!」って叫ぶもんだから、私の心臓もキューっとなってしまう。でも数日経て上手な介助の技を見つけて、するするとトイレできるようになり、血便も治まった!

老犬は老犬で、毎日が新鮮なようで、「飼い犬」をめっちゃくちゃ満喫しはじめた。来たばかりのころは目が見えないものだから、家の中でもルンバのようにぶつかっては方向転換、ぶつかっては方向転換。みたいな感じだったけれど、1カ月もせずに完全マッピング完了! な感じで家中自由に歩けるようになっているから、「第六感!? すごいな」と驚かされる。

預かり犬から飼い犬に。我が家の老犬その後

やっと我が家にも慣れてきたころ、緊急事態宣言も解除となった。健康に不安がある老犬を長時間留守番させるのは無理なので、平日昼間不在の以前の生活に戻るなら預かり続けるのは難しいと思っていたけれど、夫婦共にテレワークの生活が続き、老犬の預かり期間も延びることに。

昼間仕事をしているときはほとんど大人しく昼寝しているので静かだ。定位置はソファの上。警戒心ゼロでおへそを天井に向けて大の字でグーグー寝ている(笑)。目を覚ましたときに「ソファからおりるー!」と鳴いて訴えるので、「承知しましたー」ってポイッとおろす。トイレして水飲んで小腹すいたときのカリカリを食べると「ソファに乗るー!」とまたソファに両足を乗せて鳴いて訴える。「承知しましたー」ってポイッとソファに乗せると、また大の字でグーグー(笑)。

「どこの箱入り息子だよ!」と突っ込みたくなるほど良い生活だ。これまでの壮絶そうな犬生を考えると、これくらい良いことがあってもまだまだ足りないよなと思うけれど、なかなか羨ましい生活。

先住の猫3匹は、犬が来たころは「こいつ何だ? 誰だ?」と遠巻きに興味津々で見ていたけれど、こちらもすぐ慣れてというか飽きて気にしなくなってきた。仲良くなって可愛がってくれたら嬉しいなと少し期待したけれど、仲良くなることはなかった。むしろ空気のような扱いで完全に無視。目が見えない故にときどきぶつかりそうに突進してきたときは「ダメ!」と優しい猫パンチが繰り出される(笑)。それだけの交流でもちょっと微笑ましい。

そんな生活を続けること数カ月、なんだか毛艶が良くなってきたし、ちょっと肉付きも良くなってきた。どう見てもとっても元気なのだ。「残り短い犬生を……」なぁんて思ってたけれど、「絶対この子まだまだ生きるわ」と確信できるほど。

と言いながらも、先日久々に血尿を出してしまったので病院に連れていった。尿道が炎症を起こしていたので、抗生物質を飲むこと1週間でケロリ。治ったついでに血液検査をしてもらう。検査結果は「……な、なんと、健康体です(笑)」と獣医もビックリ笑うほど、健康体になっていた。最初の頃の数値からは信じられない!

犬自身、完全に飼い犬と思い込んでるし、めっちゃ我が家に馴染んでいる。私も犬に話しかけるときの1人称が最初の頃は「おばちゃん」だったのに、このごろ「おかーちゃん」となってしまった。「預かり犬」のつもりだったけれど、めちゃくちゃ生きる気満々な犬を見て、「もううちの子だ」と私の覚悟も決まった。しぶとさと運の強さはピカイチの我が愛犬、とうとう終の住処を見つけてしまったのでありました。長生きしろよー!