01

Feb

P2P送金アプリ「Toss」運営、配車サービス「Tada」を買収など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(10月4日~10月8日)

本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

Copyright 2021 © Media Recipe. All Rights Reserved.


10月4日~10月8日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは12件で、資金総額は571.5億ウォン(約54億円)に達した。

先週「Toss(토스)」が「Tada(타다)」を買収したというニュースが伝えられた。先日、 Tada ストーリーを盛り込んだドキュメンタリー映画「Tada:大韓民国スタートアップの肖像」が公開され、忘れられた Tada に再び関心が集まった中での大型ニュースだった。Toss は Tada を運営する VCNC 株式60%を取得し、今年末にモビリティと金融を組み合わせた新しい Tada サービスを打ち出す予定だと明らかにした。

P2P送金アプリ「Toss」運営、配車サービス「Tada」を買収など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(10月4日~10月8日)

Tada は2018年10月に登場した。乗車拒否の無い快適な乗車経験をユーザに提供し、ローンチから9ヶ月でユーザ100万人を達成した。移動の方法を変え、新しい仕事を作り出す革新的なサービスで多くのファンを獲得した。しかし、既存のタクシー業界との葛藤を経験しながら、最終的にサービスを終了することになる。タクシー業界が提起した訴訟で勝利したが、無罪判決から14日後に通称「Tada 禁止法改正法案」が可決され、2020年4月に Tada ベーシックサービスは正式に終了した。

以後 Tada は、大規模なリストラで規模を削減し、個人や法人タクシーの免許保有者のための Tada ライトや Tada 代行運転などの新規サービスを出したが、かつての Tada ベーシックの栄光を再現させられなかった。さらに悪いことに、Tada 代行運転は実績が低調で、新型コロナウイルスの影響などにより、今年7月にサービスを終了した。前述のドキュメンタリーでは、人材の調整に苦悩した内情、新規サービスの準備、予期せぬ困難に直面する状況など、革新を作るスタートアップが直面する苦難がそのまま明らかにされている。最初から顧客の反応が良かった Tada ベーシックとは異なり、新規サービスが期待以下の成績を出す不透明な未来が予告され、ドキュメンタリーは幕を閉じる。



資金注入など突破口が必要な状況での Toss の買収提案は、Tada の再跳躍の足場を用意してくれたようだ。昨年ユニコーンとなった Tada 運営会社の VCNC の実績が低調な中、Tada を整理し、上場に向けて拍車をかけることができようになる。一方、Toss は Tada を買収してモビリティサービスへの拡張により成長の勢いを継続する展望だ。インターネット銀行に続き、モビリティまでサービス領域を拡大し、投資家の注目を集めるという戦略も見え隠れする。Tada を買収した Toss は、金融に続き、モビリティ分野まで Kakao と正面から対立するものとも見える。

グローバル市場では、モビリティとフィンテックの組み合わせが多様に行われている。モビリティから得られたデータを金融に活用するのだ。東南アジアの Grab の例を見れば分かるように、Grab は配車サービスから始め、決済、保険などの金融事業にサービスを拡大し、インターネット銀行事業にも進出した。Toss と Tada も、このような相乗効果を狙っている。緊密な協力を通じて2,000万人いる Toss の顧客、900万人いる Socar(쏘카)- Tada の顧客を対象に、拡張されたメンバーシップサービスとさまざまな特典を提供し、共同エコシステムを拡張することができると期待している。

Socar 代表のバク・ジェウク(박재욱)氏は今回の買収について、Toss と既存の産業間の境界を越えて、革新的なサービスを披露し、新たに跳躍すると明らかにした。Kakao Mobility や、SKT と Uber が合弁で設立した UT などが競争しているモビリティ市場で、Toss と Tada の合弁サービスがどのような変化を作り出せるかが楽しみだ。



一方、10月9日、釜山国際映画祭では、2021 Community Biff 公式招待作品で Korea Startup Forum と Cutting Edge が共同制作したドキュメンタリー「THE 起業家」が初公開された。起業家が話す起業家精神を扱ったもう一つのドキュメンタリーだ。「配達の民族」運営 Woowa Brothers 会長のキム・ボンジン氏、 Market Kurly を経営する Kurly 代表のキム・スラ氏、ZigBang 代表のアン・ソンオ氏、Toss を運営する Viva Republica 代表のイ・スンゴン氏、、Unlimeat を運営する地球人カンパニー代表のミン・クムジェ氏、Code States 代表のキム・インギ氏、Social Bean 代表のキム・ハクス氏ら7人が出演し起業家に光を当てるのだ。

Tada と THE起業家 の2つのドキュメンタリーは全く別の観点から出発したわけだが、キム・ボンジン氏はスタートアップのことを「不便なことに対する挑戦」と表現した。最終的には全く別のような、これらのストーリーは、革新と挑戦という命題と再び向き合うことになる。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
無料メンバー登録