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Razer Phoneにハンズオン:スマホで120fpsのゲーム!

ゲーマー向けスマホって、どんなもの?

ゲーミングPCや周辺機器で知られるRazerが、スマートフォン「Razer Phone」を発表しました。ただのハイエンドスマホには収まらない、ゲーマー目線の作り込みは実際どんなものなのか、ハンズオンした米GizmodoのAlex Cranz記者が伝えてますよ。以下、どうぞ!


Razerいわく、彼らは最初からスマホを作るつもりだったそうです。ただ、彼らが作るスマホ、またはゲーマー向けのスマホとはどんなものか、最初からわかっていたわけじゃなく、ただはるかな夢として思い描いてた、ってことです。でもそんな彼らの夢が今、699ドル(約8万円)で手に入る現実になりました。ゲームに特化したこのRazer Phone、最近の似たり寄ったりな有機ELディスプレイ+背面ガラスのハイエンドスマホに飽きた人にとっても、それらに代わる新たな選択肢となる可能性を秘めています。

「今はこのデザイン、ひとつです」Razerのモバイル担当シニアバイスプレジデント、Tom Moss氏は米Gizmodoに語りました。「比率は18 x 9の有機ELディスプレイ、ベゼルはなしです。」

Razer Phoneは2016年にクラウドファンディングされたNextbitのRobinによく似たユニークなデザインですが、それもそのはず、RazerがNextbitを買収したんです。つまりRazerはこのスマホを実現すべくRobinのチームを手に入れたのでした。ただRobinには独自のクラウド機能があって、あまり使わないアプリをクラウドに格納できたりしたんですが、正直それがちゃんと使えるのか心配でした。でも幸いRazer Phoneではこの機能は使われなかったみたいなので、Robinが全部コピーされたわけじゃなく、良い部分だけが生かされたものと思われます。

Moss氏によれば、RobinをRazer Phoneのベースとしたのは合理的な判断でした。じゃあ実際、ゲーマー向けAndroidスマホとはどんなものなんでしょうか?

まず特徴的なのは、デザインです。Razer Phoneの厚さは8mmと、7.7mmのiPhone Xや7.5mmのiPhone 8 Plusより若干厚みがあります。本体はすべてブラックのアルミで、エッジはシャープな直角、背面には目立つRazerのロゴがあります。Robinのデザインを踏襲しているので、上下には太めのベゼルがあり、そこにDolby Atmosスピーカーが内蔵されています。Moss氏は、このベゼルはランドスケープモードでゲームを自然にプレイするためにあえて残したのだと言ってます。ただ持ち方によっては、親指がせっかくのスピーカーをふさいでしまうかもしれません。

Razer Phoneにハンズオン:スマホで120fpsのゲーム!

スペックは他のハイエンドなAndroidスマホと同等以上で、プロセッサはQualcommのSnapdragon 835、RAMは8GB、バッテリーは4000mAh、かつ15分で0%から50%に急速チャージできるQualcommのQuick Charge 4+対応です。背面カメラは1200画素。

残念なのはヘッドフォンジャックがないこと。充電用のUSB-Cポートがあるのみですが、やっぱり有線のイヤホン/ヘッドホンを使いたい人のために、アダプタも付属しています。

ディスプレイは有機ELじゃなく液晶で、サイズは5.72インチの1440p。なぜ液晶かって、Moss氏いわく有機ELではかなりの「ゴースト」が出る、つまりパックマンをプレイしたらキャラクターの後に黄色い残像が付いていってしまうからです。なんでゴーストが問題になるかって言うと、Razer Phoneのリフレッシュレートが120Hz、つまり1秒に120コマも画面が更新されるためです。このリフレッシュレートはゲーマーにとってかなりの魅力になると思われます。だって表示はきれいになるし、パンチやらレーザービームを打つタイミングも逃しにくくなりそうです。120Hzってのはスマホでは前代未聞で、Razerとしてもかなり「やったった」感があるみたいです。

ハンズオンできたのは短い時間でしたが、Android Nougat 7.1.1に入ってるフレームカウンタを確認できました(ちなみにOSは、2018年春にAndroid Oreoにアップデート予定です)。ゲーム『Riptide GP』をプレイしたところ、フレームレートは常時80fps以上をキープしてました。

ただフレームレートはアプリ側で「30Hz」とか「60Hz」とか上限がある場合が多いんですが、ローンチ時点では『Riptide GP』の他に『ファイナルファンタジー XV』とか『リネージュ2 レボリューション』、『鉄拳』、『Titanfall: Assault』などが最大120fpsでプレイできます。

ただ、高フレームレートでゲームをプレイするとバッテリーもどんどん使うので、そのへんは設定で柔軟に変えられます。必要に応じてフレームレートを落とすこともできるし、アプリごとにフレームレートを設定することも可能です。たとえばTwitterやFacebookをやっているときは30fpsで、『ファイナルファンタジー XV』をプレイするときは120fps、といった細かい設定もできます。

…と、ここまで見るとRazer Phoneはなかなか魅力的かもしれませんが、いくつか疑問もあります。たとえば、カメラ。私がハンズオンで見たカメラはコントロールが貧弱で、Razerはカメラ技術にほとんど投資していません。それでAppleやGoogle、サムスンといった、完ぺきなスマートフォンカメラを目指して多額の投資をしてきた他社に太刀打ちできるのかはよくわかりません。

それから、たしかにRazerにはコアなファン層がいるんですが、それ以外の人がこれに興味を持つのかもわかりません。Razer PhoneはMicrosoftのリアル店舗で販売される予定なので、Windowsファンにも多少興味を持たれるかもしれません。ただそもそも、今スマートフォンに参入するのはかなり不思議なタイミングです。Razerの人は、スマートフォンはつねに計画していた、たとえ成熟市場に参入することになってでも、と何回も言ってました。でももうたいていの人は自分の好きなスマホを持っているので、120HzのディスプレイとAndroidゲームのためにどれだけの人がこのスマホに乗り換えるものなのか、謎です。

しかもAndroidのゲームは、いつもiOSの2番手になりがちです。エミュレータを使うって手もあるし、モバイル版『ファイナルファンタジー XV』もありますが、そういうコンテンツの層の薄さをものともせずにRazer Phoneを買っちゃう人がどれくらいいるんでしょうか? それは、11月17日にRazer Phoneが発売されればわかってくることでしょう。いやもう決めた、欲しい!って方はこちらから先行予約も可能です。日本への配送も受け付けています(が、技適を通過しているかどうかは不明)。

Source: Razer

Alex Cranz - Gizmodo US[原文]

(福田ミホ)