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Jan

1.5kgの激軽ボディが掃除機業界を変える! シャープ「RACTIVE Air」は高所に強い逸品

シャープがモーター内蔵のパワーブラシを搭載するコードレススティック掃除機「RACTIVE Air(ラクティブ エア) EC-A1R」を発表しました。12月8日発売で、実売予想価格は税抜6万円前後です。発売当初の実売価格が7万~8万円を超えるモデルが多いなか、本機は比較的低価格という印象。そして、その最大の特徴は「軽さ」だといいます。発表会の模様から、RACTIVE Airの魅力やシャープの狙いについて迫っていきましょう。

いままでの掃除機ではホコリの約半分を掃除できない

RACTIVE Airの大きなポイントは「軽さ」だと紹介しましたが、その狙いは「いつもきれいな住まいと空気で暮らす、ホコリをためないくらし」だとシャープ スモールアプライアンス事業部 事業部長の鈴木隆氏は語ります。鈴木氏によると、家の中にあるホコリの中で床の上にあるホコリというのは約50%程度なんだとか。家具の上にたまるのが20%で、棚の上や冷蔵庫の上などが30%。要するに掃除機では家の中のホコリの約半分を掃除できていないというのです。

そこで床の上だけでなく、家具の上や棚の上など上部空間も含めて家中を掃除してしまおうというのがRACTIVE Airのコンセプト。そのために徹底的に軽量化を図ったのだそうです。

航空機などに使われる「ドライカーボン」で徹底的に軽量化

RACTIVE Airはシート上のカーボン素材を高圧で成型した「ドライカーボン」を採用。これは飛行機やロケット、自動車のほか、ゴルフシャフトや釣り竿など、軽さと強さが求められる部品に用いられている素材です。

1.5kgの激軽ボディが掃除機業界を変える! シャープ「RACTIVE Air」は高所に強い逸品

シャープ商品企画部の奥田哲也氏は、「非常にスリムで軽いドライカーボンの採用によって、掃除機全体で約40%の軽量化(重さ2.4kgのプレミアムモデル「EC-SX520」比)を実現。操作の負担を大きく低減しました。汚れやすいテーブルの下などもスムーズに掃除できます」と語り、市場背景と製品の強みについて次のように述べました。

「コードレス掃除機の性能が向上してメインの掃除機として使えるようになり、2015年には販売構成比がキャニスタータイプを抜きました。しかし1台で家中を掃除できるのが中心になっており、年々スティック掃除機は重くなってきています。2014年から2016年で約30%重くなっており、サッと掃除するニーズからは離れているのが実情。そこでサッと掃除することに絞り込んで基本設計を一から見直しました。バッテリーモーター以外を徹底的にそぎ落とし、基本性能を損なうことなく圧倒的な軽量化を実現しています。ただし、吸引力にも妥協はありません。プレミアムモデルの『EC-SX520』と同じモーターを採用するとともにパイプを細く絞ることで高圧化し、キャニスタータイプよりも速い風速を実現しています」(奥田氏)

軽さのために「マジックバランス」や「ゴミセンサー」は省略

筆者も実際に持ってみましたが、2kg以上が当たり前のスティック掃除機において1.5kgというのは圧倒的な軽さ。さらに、すき間ノズルと、角度調節が可能でエアコンの上などが掃除しやすい「はたきノズル」が付属しているため、高所をはじめ家中をラクに掃除できそうです。

もう一つ魅力的なのが、本体後方にある「ちょいかけフック」。イスの背もたれやキッチンのカウンターなどに引っかけられるようなフックが付いているのです。掃除を中断するときには便利ですね。

さて、コードレススティック掃除機といえば、気になるのが「充電」と「収納・設置」です。いつでもサッと取り出して使うためには「充電しやすいこと」と「邪魔にならずに収納・設置できること」の2つが必須。一部のメーカーは充電にも対応する壁掛け金具を付属し、自立タイプの場合は充電台を付属するなどそれぞれに工夫をこらしています。

シャープの場合はバッテリーを取り外して充電器で充電する「セパレート・チャージ」を採用することで、別売バッテリー(8640円)を購入すれば「掃除しながら充電」というスタイルも可能になっています。なお、バッテリーの充電時間は約80分で、掃除時間は強モードで約8分、標準モードで約30分。

さらに設置用のスタンドも別売で用意しているのですが、そちらを購入しなくても新たなフックの採用によって、より簡単に収納できるようになりました。

カーボンというと高級ロードバイクのフレームやカメラ用高級三脚などに用いられている素材のため、コストは決して低くありません。しかしプレミアムモデルのEC-SX520が実勢価格7万円前後なのに対し、RACTIVE Airは6万円前後に抑えられています。商品企画部の奥田哲也氏によると、その理由は「割り切り」だそうです。

「今回は軽量化を追求したため、自立する『マジックバランス』の採用は見送りました。またゴミを検知する『ゴミセンサー』もRACTIVE Airには搭載していません」(奥田氏)

高性能を求めるなら上位モデルがオススメですが、普段の掃除の負担を少しでも軽減したいという人にはRACTIVE Airが断然オススメです。

本機に新たなカテゴリを切り開く可能性を感じた

コードレススティック掃除機というのは、今回のRACTIVE Airやダイソンのようにハンディ掃除機に延長管とヘッドを付けたタイプと、エレクトロラックスの「エルゴラピードシリーズ」のように自立するタイプの2つに大きく分かれます。前者のタイプは手元の本体が重いため、床上の掃除には手元にかかる重量が負担でした。しかし、今回のモデルは徹底的な軽量化を図ったことで、力の弱い女性でも手軽に高所の掃除ができるようになった点が画期的。本機の登場により、今後は本体そのものを徹底的に軽量化した「軽量モデル」という新カテゴリが始まるかも――そんな可能性を秘めた製品だと感じました。